【怪物はささやく】は2017年に日本で公開されたダーク・ファンタジーの映画です。
けど、これが泣ける話なんですよね。映画についての感想はこっちにも書いてます。
ぼくの当時あった悩みにも共感するものがあって、劇場で見ていたのですが、後半はボロボロ泣いてました。劇場にいたほかのひとも涙をながしていましたね。
原作はパトリック・ネスさんが書いた本ということで、さっそく購入しました。この本、じつは児童文学なんですがそれでも、大人になった人にこそ見てほしい、読んで欲しい作品です。
ストーリーをおさらい
その怪物は決まって真夜中にやってくる。
コナーの部屋の窓から見える墓地、そこに大きくそびえるイチイの大木
その木の怪物はコナーに語り掛ける。
ーわたしはおまえに3つの物語をきかせる わたしが語り終えたら
おまえが4つめの物語を話すのだー
以前から病気だった母はますます状態が悪くなり
気の合わない祖母が家にやってくる。
学校ではからかわれたり、酷いことをされたり、唯一助けてくれた幼馴染みさえコナーから離れてしまった。
だれも自分のことをわかってくれない…
怪物がコナーに聞かせる3つの物語
そして4つめの物語はコナーが隠している真実であるという。
怪物がやってくる理由はなにか
コナーが隠そうとする真実とはなにか…
モノクロで描かれる挿絵
コナーの感じる恐怖や不安、4つの物語の世界を読むひとに伝えるモノクロの挿絵はジム・ケイが担当し、映画においてもジム・ケイが担当しました。本のサイズによっては、挿絵の大きさと挿絵の向きが異なるので気になるひとは書店にいって購入してください。
本と映画のちがい
映画の脚本は原作を生み出したパトリック・ネス自身が担当したことでこの作品のもつ、暗くて優しい、美しい世界観が再現されています。違いというは、登場人物の描き方です。
本のなかではコナーに悪さをする生徒の名前、学校の先生の名前そして映画のなかには出てこなかった少女の名前がでてきます。
映画では、怪物はどこからきたのか、新しい解釈をうむようなヒントが何気ないシーンや原作とやや異なるエンディングで示されています。
リリーという少女
リリーはコナーの幼馴染みで、コナーにとっては別の家でくらしているきょうだいみたいなものでした。しかしコナーの母が病気になってからその関係も変わってしまいます。
コナーの母の病気のことは誰も知らないはずだったのに、リリーがみんなに広めてしまったのです。そこから、コナーの世界は変わってしまいました。
全部リリーのせいだ。
そのきっかけをつくったリリーが許せなくて。ハリーたちから助けてくれた時も、お礼も言わず逆にリリーを裏切ってしまいます。3つめの物語のあと、さらに孤独になってしまったときリリーから手紙が届きます。
たった4行しか書かれていませんでしたが、コナーの胸をいっぱいにするにはそれで十分でした。たった4行になにが書かれていたのかは読んだひとはわかりますよね。
異なるエンディング
映画のエンディングでは原作には描かれなかった、「その後」も追加され
怪物はほんとうはどこからきたのか、リジーがその最期のとき、怪物に目線をおくった意味とは、その答えを生む新たな解釈ができるようになっています。
まとめ
映画をみたら原作を読みたくなるし原作を読んだら、またこの映画をみたくなることでしょう。何年たっても色あせることはない、「怪物はささやく」は優しく美しい物語であるとぼくはおもいます。